【False truth】（嘘の真実）のカレイド・キルクと【Shadow usage】（影使い）のユーラ・バレンティンが昼を共にしていた。
「【Puppet master】（人形遣い）ってどんなヤツなの？」
「さぁ？ 私は出会った事がありませんので。確か【Black】（黒）と同じランクでしたね」
「うん。だから気になってさ。【Black】（黒）と【White】（白）の噂はしょっちゅう聞くのに【Puppet master】（人形遣い）は聞かないじゃん」
「ええ、そうですね」
「それにさぁ、最近は【楓】も危険人物としてリストアップされたんでしょ？」
「ええ」
「そういや【楓】も同じランクだよね」
「【Silence edge】（静かなる刃）」
「どういう意味なの？」
「おそらく、文字通りだと思いますよ」
「う〜ん」
「私は【Sleeping edge】（眠る刃）のほうが似合ってると思うんですがねぇ」
「どっちもさっぱりなんだけど」
「いや、昔の話ですからね」
「まぁ、どうでもいいや。【Puppet master】（人形遣い）だよ話は」
「ああ、そうでしたね。あ、丁度良い所に……。アーギスさん、知りません？」
「………」
「【Puppet master】（人形遣い）の事です」
「………」
「あーあ、行っちゃった」
「知らないんですかねぇ」
「そういう問題では無いと思うよ」
「【Puppet master】（人形遣い）なら知ってるです」
「あ、マリィ」
「今日は、マリィさん」
「今日はです」
「どんな人なの？」
「あまり詳しくは知りません。ただ、民衆を操っていた、とかそんな話は聞いた事があります」
「誰から聞いたの？」
「社長ですよ」
「社長がですか」
「ええ、その時は【Puppet master】（人形遣い）だけでなく【Calamity】（災害）が現れたそうです」
「【Calamity】（災害）？」
「ほぉ、実在するんですね」
「あ、スイマセン。無かった事にしてください」
「ねぇ、誰？ 【Calamity】（災害）って誰よ」
「ユーラさん、コレは只のエージェントの我々は知る必要がない物なのです。まぁ、私は知ってしまいましたが」
「何ソレ？ そんなんあり？」
「この事は内密にしてくださいね？」
「教えてくれたらいいよ」
「ユーラさん……」
「駄目です。言えません」
「教えてよぉ」
「ユーラさん、それ以上は……」
「教えてぇ〜」
「……オイ、ガキ。シツコイやつぁ嫌われんぞ？ 聞いてっか、あ？」
「はぁ……」
「うわ、マリィ！ 抑えて」
「ぬぁにが『抑えて』だぁ？ てめぇがウゼェ事言うからだろ？」
「ちょ、ちょっと何手に持ってんの？」
「ああ？ これかぁ？ 仕置きだよ、仕・置・き。ウゼェのを黙らせる為にな」
「やっぱ、アタシに？」
「はぁ？ 何当たり前の事聞いてんだよ馬鹿。地獄みせてやんぜ」
「ちょ、まっ！ カレイド！ 止めてよ！ ……あれ！？ カレイド！？ どこ行ったの！？」
「おい、ガキ！ 何騒いでんだよ」
「あ、あのさぁ、マリィ？ アタシら仲間だよね？」
「ああ？ 何言ってんだぁ？ コレでも『相当』抑えてるんだぜ？」
「う、嘘だ！」
「潰すぞガキが！」
「いや、ヤメテ！ カレイド待ってよぉ！」
「逃げんじゃねぇ！」
騒がしい《シュバルツバルト》のとある日の出来事だった。
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